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私たちが大切にしている刺し子の中に、「みんな違ってみんな良い」という考え方があります。針目は単純ですが、続けるほどに個性が表れ、それがとても素敵だと感じます。同時に、「違っていても争わない」という、私が昔から見てきた刺し子の風景を再現したいという思いから、「刺し子の運針をお伝えする会」として運針会を開催しています。それぞれに個性があるのに、一緒に作品にしても違和感がない…。そうした「個」になりがちな刺し子を、「集」としても継承できないかと考えています。
最初は「無理かな」と思っていた企画も、日本国内で続けていくうちに「日本の当たり前と運針の型が共通認識としてあれば、再現も継続も可能だ」という希望が湧き、今も運針会の皆さんと作品作りを続けています。今回の日本滞在では、これまでの企画にさらに挑戦を重ね、「日本の当たり前を共有しているかわからない方々との共同作品」に取り組む予定です。
今回の展示会で紹介する刺し子作品の一部は、そんな運針会の皆様と一緒に作った作品達です。